個人型確定拠出年金が本年1月から加入範囲が拡大されるなどリニューアルされている。確定拠出年金(DC)は、公的年金を補完する目的で2001年に設けられた私的年金制度だが、掛け金の運用先を自分で選び、その運用成績によって60歳以降に受け取る年金額が変わるのが特徴となっている。企業が従業員のために掛け金を拠出する「企業型」と、自営業者や会社員が個人で加入して掛け金を払う「個人型」とがある。
「個人型」はこれまで自営業者や企業年金制度のない会社員等に限られていたが、今年から対象者が専業主婦などの第3号被保険者や公務員、企業年金加入者にまで拡大し、これにより原則として60歳未満の全ての人が加入できるようになった。個人型DCの拠出限度額は、専業主婦が月額2万3000円(年額27万6000円)、公務員が同1万2000円(同14万4000円)、企業年金加入者が同2万円(同24万円)となる。
個人型DCのメリットはなんといっても税制上の優遇措置だ。掛け金は全額が所得控除の対象となり、運用益も全額非課税と税メリットが豊富だ。
年金受取時は雑所得扱いとなり公的年金控除の対象で、一時金として受け取る場合は退職所得扱いとなり退職所得控除が適用できる。ただし、運用は自己責任なので元本割れの可能性もあるが、上手く運用できれば公的年金の大きな補完になる。
掛け金や加入期間、運用方法、受取方法などにより年金額や税メリットが変わってくるため、金融機関やファイナンシャルプランナーなどに相談しながら慎重に戦略を練る必要がありそうだが、公的年金を補完するための「自助努力」の選択肢の一つとして注目が集まっている。なお、個人型企業年金の払込は、2017年12月までは、毎月の支払のみの取扱いとなる。2018年以降は、拠出限度額の年単位化が実施される予定だ。